映画『フォックスキャッチャー』の感想

~ミスリードに身を委ねよ!~

映画「フォックスキャッチャー」を見たあらすじと感想です。
ネタバレもありますのでご注意を!
ステーションシネマ大阪で見ました。

EPSON129.JPG

これは実際にあった事件を基に作られた映画です。
事件の顛末を知らない私は予告を見て、制作側の多分意図的なミスリードにまんまと騙されたドクロ
しかし、この映画は騙されてた方が倍楽しめる音符

事件の顛末を知っていても十分に楽しめるが、ミスリードに導かれるまま騙されるのもまた一興ワイン

あらすじです。

マークは1984年ロス五輪の金メダリストだったが、生活は困窮していた。
兄のデイブも同じく金メダリストで現役ながらその手腕を買われコーチとしても引っ張りだこだった。

そんなマークの元に夢のようなオファーが。
それは、大財閥デュポン家の御曹司ジョンが自分のレスリング・チーム"フォックスキャッチャー"への誘いで、報酬も待遇は破格のものだった。
ジョンはソウル・オリンピックでの世界制覇をめざそうと持ちかけてきたのだ。
マークはそのオファーを受け、ジョンの邸宅の離れに暮らすことになった。

最初、マークとジョンは同じレスリングに情熱をかたむける者同士2人の関係は上手くいっていた。
マークはジョンから裕福な暮らしと設備の整った練習場を与えられ、
ジョンはマークを連れまわすことにより、金メダリストという勲章を身に着け人々から賞賛を受けることに酔いしれていた。

しかし、徐々にその関係に歪が生じ・・・


ジョンの母親は競争馬に情熱を傾けていて、コンテストで優勝しちゃうような馬を何十頭も敷地内で飼育している。
母親は馬に傾ける情熱と反比例するかのようにジョンには至って無関心。
その反動からかジョンは馬を嫌悪し、母親が嫌悪するレスリングにやたら執着する。

不気味なのは、ジョンにとってレスラーは、母親にとっての馬と同じってことドクロ
母が馬を敷地内で飼育するように、ジョンは人であるレスラーを敷地内で飼育?した。
食べ物を与え、寝るところを与え、適切な運動場を与え、優勝できるようにトレーニングをさせた。
ジョンやジョンの母親のような大富豪にとって、レスラーも自分達と同じ人間なのに、レスラーの意志には無頓着で、
単に自分の虚栄を満たすための道具にしかすぎない。
なんか一般庶民には理解し難い思想で、漠然とした恐怖心を憶えた。

あと見ていて、「そう考えて良いのか?そう考えるのは不純なのか?」ちょっと悩んだんだけど、
どうも意図的にそうしていたらしいのです。
真夜中にジョンが突然、マークにレスリングの稽古をつける(してもらう)シーンがあって、
暗いレスリング場に2人っきりで、妙に恍惚な表情のジョンと2人の吐息、そして組み合う体(見ようによっては絡み合う肉体)。
それがなんか艶めかしいと言うかね・・・

この同性愛を匂わせるような演出に対して、マーク本人は当初映画(監督)に対して批判的(→『フォックスキャッチャー』原作者が映画&監督を痛烈批判!@CinemaCafe)であったが、映画に出演した俳優陣には敬意を表している(→『フォックスキャッチャー』実在の人物が監督を批判@ぴあ映画生活)らしいです。


ジョンは病的なまでに(と言うかある種の病気だったらしいけど)自己顕示欲が強く、
レスリングはジョンにとってその自己顕示欲を満したしてくれるはずのものだった。
ジョンにとって、レスリングはトロフィーをもらうための道具であり、
トロフィーは人々からの賞賛、賛美、尊敬を得るための道具であり、その象徴でもあった。

そもそも、なぜ、ジョンがそんなに自己顕示欲が強いのかと言うと、
ジョンは母親から認められたいという欲求が強いが、自分を認めてくれるどころが母親は自分に無関心。
ジョンは母親に認めてもらうために、人々の賞賛が必要だった。
いつだってジョンは母親への愛情を渇望しているが、いつだってそれが叶うことはないハートブレイク

ジョンが金持ちの道楽よろしくただの気の良いスポンサーに徹していればレスリング選手達に好かれ、本人の望み通り尊敬されただろうに、
ジョンは「フォックスキャッチャー」のコーチであることを望んだ。
素人のジョンが世界レベルのレスリング選手たちに自分を「コーチ」と呼ばせるのだ。
勿論、誰もジョンに指導なんか求めていないのにドクロ
しかし、ジョンはあくまでも自分がコーチであることに固執した。
コーチと呼ばせ選手から敬意を払わせた。
それはお金で買った偽りの敬意なのにドクロ

母親が珍しく練習場に姿を見せた時にはジョンは嬉々として選手たちを集め、訓示を述べ、見本をみせたりする。
その姿は滑稽ですらある。
ジョンのとてつもない心の闇を感じずにはいられない。


当初、マークは窮地から救ってすれたジョンに感謝し、ジョンの望むままにジョンを賞賛した。
やがて、ジョンに飼われた?マークはジョンに勧められるがままに薬(コカイン)に手をだしてしまう。
マークは贅沢になれ、自制心を失い、やがて、自堕落な生活を送り、自分を見失ってしまう。
練習もおろそかになったマークは試合に大敗した。
後悔するマークは自分に悪影響なジョンに対して反抗的な態度をとるようになる。

マークを意のままに操れなくなったジョンは次にマークの兄デイブにも「フォックスキャッチャー」に加入するように要請する。
デイブは人格者でレスリング界では尊敬されている人物であった。
マークは同じ金メダリストでありながらそんなデイブの影のような存在であった。
マークはデイブの加入に乗り気ではなかったが、結局、ジョンの金の力でデイブも「フォックスキャッチャー」の一員になった。


マークと違ってデイブは強いだけでなく賢かった。
デイブは自分を律することを知ってるし、ちゃんと自分の家族を持っていた。

ジョンは自分を褒め称えるドキュメントを自分で制作していた(その時点でかなり異常)。
ジョンに依頼されたインタビュアーはデイブへのインタビューでジョンを褒め称える言葉を言わせようとするが、
デイブはジョンの思い通りにはならなかった。
デイブはジョンを心から賞賛することは出来なかったのだ。

マークは自分の元を去り、結局金の力では埋められない虚しさを抱えたジョンはある日突然の強行に出る。

と、ここで、予告だけを見て、他の情報を何もしらなかった私は制作側のミスリードによって、すごい衝撃を受けることになった。

この先ネタバレありますので、ご注意を!!!
未見の方はご注意を。

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予告だけ見ていた私は、てっきりジョンに殺されるのは弟のマークだと思い込んでたんですよね。
ところが、ジョンが銃を持って向かった先にいたのは兄のデイブだったんですよショック!!!
そう、ジョンに殺されたのはデイブでしたショック!!!

いやー殺されるのはマークかと思い込んで見ていたので、デイブが殺された時の衝撃は凄かったです雷

これ、制作側の意図的なミスリードなんだと思われるのですが、これが非常に功を奏しているハート
いやー騙されたお陰様で物凄く楽しめました音符


この映画では、アカデミー賞主演男優賞にスティーヴ・カレルが、アカデミー賞助演男優賞にマーク・ラファロがそれぞれノミネートされています。
出演する俳優の緊張感ある張り詰めた雰囲気でグイグイと観客を引っ張っていきます。

スティーヴ・カレルもマーク・ラファロもそれまでのイメージを一掃するような役作りに成功してます。

スティーヴ・カレル(左:フォックスキャッチャー、右:40歳の童貞男)

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マーク・ラファロ(左:フォックスキャッチャー、右:はじまりのうた

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うーん、別人ですねショック


ヤフー映画のユーザーレビューでは3.82点。
私の勝手な採点は★4つ半。

面白かったー音符

アカデミー賞ノミネート

  • 主演男優賞:スティーヴ・カレル
  • 助演男優賞:マーク・ラファロ
  • 監督賞:ベネット・ミラー
  • 脚本賞:E・マックス・フライ、ダン・ファターマン
  • メイクアップ&スタイリング賞

カンヌ国際映画祭受賞

  • 監督賞

【作品情報】

  • 監督:ベネット・ミラー
  • 脚本:E・マックス・フライ、ダン・ファターマン

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映画レビューデータ

タイトル : フォックスキャッチャー

ジャンル : バイオグラフィ

キーワード : アカデミー賞ノミネート , カンヌ映画祭 , サスペンス , バイオグラフィ

評価 : 4.5つ☆ / 5つ☆

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