映画『Mommy マミー』の感想

~愛するだけが愛じゃない~

映画「Mommy マミー」を見たあらすじと感想です。
シネリーブル梅田で見ました。

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チラシが何種類かあった。
どれも素敵でコピーの文もそれぞれ違ってた。
その中で一番心に響いたのがこれ、「愛するだけが愛じゃない」。

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あらすじです。

恵まれてるとは言えない生活を送るダイアンには離れて暮らす15歳の1人息子スティーヴがいた。
スティーヴはADHDのため情緒不安定で乱暴行動を引き起こしてしまう。
スティーヴは預けられていた施設でボヤ騒ぎを起こし、その火事でその場にいた少年に怪我をさせていまい、退所させられてしまう。

ダイアンはスティーヴを引き取ったものの、彼の扱いに手を焼いていた。
そんな時、ひょんなことから隣家に住む引きこもりがちな主婦カイラと親しくなる。
カイラはストレスから吃音を患うようになって休職中の教師だった。

ダイアン、スティーヴ、カイラの3人の間に不思議な友情関係が生まれ。。。


BGMにオアシスのWonderwallが使われている。
すごく印象的で映像とマッチしていた。
あまりにもベタで受け付けなって人もいるようだけど、私は凄く良かったと思う。

全体を通してもサウンドトラックが素敵で、公式HPにもプレイリストが公開されている。→サウンドトラック@Mommy マミー


人は人を愛することは何よりも尊いことだと教わる。
しかし、愛だけではどうにもならないのも現実だ。
愛だけではどうにもならない。
愛が問題ではないから。

愛か希望か、どちらか一つしか選べないならどちらを選ぶのが正解なんだろう?

この先、結末に係わるネタバレがあるのでご注意を!!!!!

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施設から出てきたスティーヴはダイアンと一緒に暮らすことになるが、生活は楽ではなかった。
スティーヴは生活用品を万引きをしてしまう。
咎めるダイアンにスティーヴは「何でわかってくれない。ママの為にやったのに」とブチ切れて、ダイアンに暴力をふるう。

隣人のカイラとはそれまで挨拶程度の付き合いであったが、怪我の手当をしてくれたことから親しく付き合うように。
カイラはスティーヴに勉強を教えてくれたり、ダイアンが仕事の時はスティーヴの面倒をみてくれたりするようになった。

ダイアンとスティーヴの親子にカイラが加わったことにより、全てが上手くいくように思えた。
しかし、幸せな日々は長くは続かなかった。

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スティーヴが施設で起こした火事事件で被害者となった少年の親が、損害賠償を求めて裁判沙汰に。
お金もないシングルマザーのダイアンは、ダイアンに色目を送って来る近所の弁護士ポールを利用しようとする。
しかし、母親といちゃつくポールに腹を立てたスティーヴはポールを殴り倒してしまう。

金銭的にも精神的にもどんどん追い詰められていくダイアンとスティーヴの親子。
ある日、3人でスーパーに買い物に行った時、カイラが目を離したすきにスティーヴが自殺未遂を起こしてしまう。

ダイアンはある決意をし、カイラとスティーヴを誘ってピクニックに出かけた。
ダイアンは車の中で空想にふける。
スティーヴが成長し、大学に入り、やがて結婚するという母親の描く息子の幸せだ。

しかし、それはただの夢でしかない。
現実にあるのは、ADHDで時に暴力的になる息子とそれを制御できない無力な母親だ。
ダイアンはスティーヴをスティーヴに黙って強制施設に入院させることにしたのだ。
スティーヴは施設に無理やり収監させられた。

スティーヴが去り、カイラはダイアンを避けるようになった。
久しぶりにダイアンを訪ねたカイラは「夫の仕事の都合で引っ越すことになった」と告げる。
一人ぼっちになったダイアンはそれでも「良かったね。」とあくまでも明るく振る舞う。
カイラは「私には家族は捨てられないから」と夫に従属するカイラ。
ダイアンは「私は家族を捨てた訳じゃない。希望を捨ててないだけ。」と言う。

スティーヴは施設の中では拘束服を着せられ、自由を奪われた。
ある日、監視の目をくぐって、スティーヴは出口に走った。
自由のある光り輝く出口へと。

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ダイアンが施設からスティーヴを引き取った時に、施設の人から「愛だけじゃ救えない。問題は愛じゃないから。」と言われた。
その時、ダイアンは「ケッ」って感じだったけど、結局はそういうことなんだよね。

スティーヴが5歳の子どもなら、ダイアンだってスティーヴを昼間誰かにもしくはどこかに預けながら働くこともできた。
スティーヴが暴力的で問題を起こしても、5歳の子どもの起こした問題ならダイアンが謝って解決できるだろう。
5歳の子どもが起こす問題と、15歳、いや何年か後には成人する、その時に引き起こす問題とは全く次元が異なるからだ。

スティーヴが自殺未遂をし、ダイアンはスティーヴを守るために、施設に入れた。
治療すればいつか良くなるかもしれない。
いつか新薬が開発されてスティーヴは問題行動を起こさなくなるかもしれない。
プロに見てもらえば、今より自分を制御できる方法を見つけるかもしれない。
いつか。。。

いつか、という希望。
ダイアンはその希望を捨てられなかった。

ダイアンの願いはただ息子の幸せだけ。
大抵の親はそうだ。
子どもの幸せを願っている。
その方法はどうであれ。

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一方で、ストレスから吃音になってしまったカイラも問題を抱えていた。
カイラは夫が仕事の都合で各地を転々と暮らす、日本で言う転勤族だ。
夫に辞令が出れば問答無用でそれまでの生活を全て捨て、新しい土地に移るのだ。
日本だと割と当たり前で、私自身もそうだけど、そこに妻の意志はない。
それってすごく理不尽だよね。
でも、その生活が理不尽なことなんだと、あまり理解されない。

カイラにだって不満はあるが、結局、夫に従って生きている。
「私には家族を捨てることが出来ないの。」
そうやって生きていくことしかできない人間の精一杯の強がりだ。

カイラが自分と重なって、切なくなった。

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カイラが引っ越すと聞いてすごくショックなのに、それを素直に表現出来ずに強がるダイアン。
いつも必要以上に前向きで明るいダイアン。
どんなに辛い時でも、そうやっていつも強がって生きてきたんだろうね。

カイラが去った後、口を押えて嗚咽するダイアン。
思い切って泣いちゃえば良いのに。
不器用で強がりなダイアン。

強い人間の中には必要以上に強がらなければ生きていけない弱さがあると知ってる人は世の中にどれくらいいるのだろうか?
それを知らずに生きられる幸せな人間は世の中にどれくらいいるのだろうか?

カイラに「私には家族を捨てることが出来ないの。」と言われて、「私は希望を捨ててないだけ。」と言い返すダイアン。
それは強がりなのか、本心なのか?

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いつか、スティーヴは出口にたどり着けるだろうか?
キラキラと光り輝く自由の出口へと。

それは、ダイアンの希望であり、スティーヴの希望である。

いつか、たどり着いて欲しい。
あのキラキラと光り輝く自由の出口へと。

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ヤフー映画のユーザーレビューでは3.79点。
私の勝手な採点は★5つ。

★★★★★


カンヌ国際映画祭受賞

  • 審査員賞

【作品情報】

  • 監督:グザヴィエ・ドラン
  • 脚本:グザヴィエ・ドラン

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映画レビューデータ

タイトル : Mommy マミー

ジャンル : ドラマ

キーワード : カンヌ映画祭 , 精神障害 , 親子

評価 : 5つ☆ / 5つ☆

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