映画『エレファント・ソング』の感想

~恐るべし、美しきカリスマ、グザヴィエ・ドラン~

映画「エレファント・ソング」の感想とあらすじです。
シネ・リーブル梅田で見ました。

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またもやグザヴィエ・ドランの才能に溜息。
恐るべし、美しきカリスマ。

愛を知らずにどう生きていけば良いのだろうか?
閉じ込められた世界でしか生きれないとしたら、どう生きていけば良いのだろうか?

あらすじです。(公式HPより

マイケルは美しい青年だった。14歳のときオペラ歌手である母が目の前で自殺し、その後、現在に至るまで精神病院に入院している。彼は病院で一番の問題児とされており、ゾウにまつわるあらゆることに異常なまでの執着を示していた。ある日、彼の担当医であるローレンスが失踪した。手がかりを知るのはマイケルだけ。マイケルのことをよく知る看護師長のピーターソンは「マイケルは茶化すだけで真実を話さない」と助言するが、院長のグリーンは彼に事情を聞くことを試みる。すると、話をする代わりに、と彼は条件を提示した。

1、僕のカルテを読まないこと。
2、ご褒美にチョコレートをくれることを約束すること。
3、看護師長をこの件から外すこと。

グリーンは条件を飲むが、マイケルはゾウやオペラについての無駄話で、話をそらすばかり。 「母を殺した」「ローレンス医師から性的虐待を受けていた」など、嘘か本当かわからないようなことをほのめかす。いつしかグリーンはマイケルの巧妙な罠に取り込まれていった...。


精神病院の院長のグリーンと失踪した医師ローレンスと最後に会った秘密の鍵を握る患者マイケル。
映画はほぼこの2人が病院のカウンセリングルームという密室の中での会話のやりとりで進行していく、密室型の心理劇だった。

映画の大部分を占める病院のカウンセリングルームは色味がなく、無機質で、閉塞感があり、清潔ではあるが生活感はない。
その中でマイケルの思い出の中にある母親だけが色鮮やかで、賑やかで美しいが祭りのような儚さに満ちていた。
母親に愛されなかったマイケル。
それでも、精神を病んでも、その心の中には鮮やかに美しかった母親の面影を留めていた。

虐待されても、子どもは母親から離れたがらないと言う。
親からの愛は無償の愛だと言うが、当たり前に無償の愛に溢れた子ども時代を送れる者も、どんなに渇望しても愛を与えられない者もいるのが現実だ。
自分では選べないし、自分の努力ではどうにもならない。

悲しいことに、人は生まれながらにして平等ではない。


密室劇だと、閉ざされて動きのない空間の中で演者の力量が引き立つと言う長所はあるが、単調になりがちという短所もある。
グリーンとマイケルのやり取りは見応えはあるし、自らマイケル役を渇望したというグザヴィエ・ドランはまさにはまり役。
ただ、やっぱり、途中でやや単調さを感じでしまったのは否めない。

それでも、院長のグリーンだけでなく、見ている私たちをも翻弄するマイケルに不思議と魅了させられる。

この先結末に係わるネタバレがあるのでご注意を!!!!!

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さんざん、グリーンを翻弄したマイケルだったが、結局、ローレンスは失踪したのではなく、ローレンスの書いた休暇のメモをマイケルが隠しただけだった。
マイケルはご褒美のチョコ、チョコの中のナッツが目当てだった。
マイケルはナッツアレルギーだったのだ。

グリーンと看護士のピーターソンの願いはむさしく、マイケルは命を引き取った。

マイケルは知的で魅力的な若者だった。
愛を知らずに育ったマイケルは愛を渇望したが、愛が何なのかさえ分かっていなかった。
そもそも、愛が何なのか明確に分かっている人間なんてこの地球上にどれだけいるのだろう?
愛が何なのか、どう人を愛するかは明確に分からなくても、親から愛されて育った人は多い。
親から愛されて育っても、親に愛されたように無償の愛で誰かを愛することは難しい。
それでも、人は愛を求める。

退院して自由に生きていく望みは薄いマイケル。
マイケルが人を騙し、勝ち取ったマイケルの隠していた願望は、自身の死という解放だった。

閉じ込められた世界でしか生きれないとしたら、どう生きていけば良いのだろうか?


グリーンとピーターソンは元夫婦で、グリーンは再婚しているが、今の妻とは上手くいってない。
グリーンとピーターソンは娘を亡くしている。

グリーンとピーターソンが寄り添う姿で幕を閉じる。
マイケルの死を看取ったことで、2人の心に何かが起きた。

やっと娘の死と向かい合えたのか、許し合えたのか、癒されたのか、再び心が通い合ったのか。

2人の行きつく先には何があるのか?
誰にも分からないけど、どんな形にせよそこに幸せがあれば良い。


ヤフー映画のユーザーレビューでは3.83点。
私の勝手な採点は★3つ半。

もう一回じっくり見たいなと思った。
結末を知った後に、落ち着いてじっくり再度鑑賞したらまた新しい発見があるかも。

★★★☆


【関連作品】

  • グザヴィエ・ドラン監督作品―「マミー

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映画レビューデータ

タイトル : エレファント・ソング

ジャンル : サスペンス

キーワード : サスペンス , 密室劇 , 精神障害

評価 : 3.5つ☆ / 5つ☆

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