映画『追憶と、踊りながら』の感想

~悲しみより不思議と愛で満たされた映画~

映画「追憶と、踊りながら」を見た感想とあらすじです。
テアトル梅田で見ました。

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愛する息子を亡くしたカンボジア系中国人のジュン。
愛する恋人を亡くしたリチャード。
愛する者を亡くした2人を軸にした映画だったが、不思議と悲しみより愛に溢れた映画だった。

あらすじです。

ロンドンの介護ホームで暮らすカンボジア系中国人のジュンは1人息子のカイの訪問を心待ちにしていた。
ジュンはカイが友達のリチャードと暮らし、その為に自分はカイと暮らせないことが不満だった。
カイがリチャードを優先し、親である自分を蔑ろにしてるように感じるからだ。

リチャードはカイの恋人だった。
しかし、カイは自分がゲイであることを母親に言えずにいた。

ある日、カイが母親を訪ねるために乗ったバスが事故に遭い、カイは亡くなった。

リチャードは亡き恋人の母親に何かしてあげたいと願うが、ジュンはリチャードに心を許さない。
ジュンは親しくしている男性アランがいるが、ジュンは英語が話せず、アランは英語しか話せない。
リチャードはジュンとアランの為に通訳を雇い、意志疎通を図らせようとするが。。。


長くロンドンで暮らしながら、英語が話せないジュン。
話せなくても生きていけたのは、きっと、いつも誰かに頼って生きてきたから。
最初は夫に、夫亡き後は息子に。

息子はそんな母親を愛しながらも、その存在に重圧を感じていたが、母親を突き放すことも出来なかった。

正直、あー嫌な親子関係だなと思った。
子ども時代は子どもは親を無条件に頼って生きている。
しかし、いつしか子どもは独り立ちし、やがて親が老いて親は子どもを頼るようになる。
母親と息子はいつの頃からかそんな関係になるのだろうか?
自分はそうはなりたくないと思う。

中国のお国柄なのかな?とも思うが、現代の日本にも「長男だから同居」が絶対な価値観を持つ人もいる。
老いた両親を見放せとは思わないけど、老いた両親の為に若い世代が犠牲になるのは正義ではないと思う。
しかし、ジュンみたいな人種は、自分が子どもを頼ることで子どもが犠牲になってるとは考えないんだろうね。

家族としての役割、家族の愛情、人として自立して生きていくこと、そこにどこからどこまでと線引きできないラインがある。
家族内ではそのラインは親が引き、それが家族のルールになる。
子どもが成長すると、家族以外と係わりを持ち、家族のルール以外の価値観を持つようになる。

大人になっても、家族のルールを守り続けるか、新しい価値観を誰かと共有するか。
子どもが新たな価値観を持つようになった時に、親は受け入れるのか、拒絶するのか、今まで通り押し付けるのか。
なかなか難しいよね。
年取ると、頭もどんどん硬くなるしね。

自分は子どもが成長し、彼が見つけた新しい価値観を受け入れるような人間になりたい。
別に、自分が合わせる必要はない。
自分は自分、彼は彼だから。


いつも、いつも不機嫌そうで憮然とした表情のジュン。
そんなジュンがカイとの思い出に浸る時に、ふと表情が緩む。

ジュンとカイ、そして、リチャードとカイの回想シーンが幾度となく流れる。
ジュンもリチャードも回想シーンでは幸せそうに微笑んでいる。
そこには愛が満ちていた。

リチャードは何とかジュンの力になろうとするが、ジュンは冷たく突き放す。
そのたびに、雨に濡れた子犬のように、なんとも悲しげな表情をするリチャード。

愛する人を失った2人を軸にした映画なのに、不思議と悲しみより愛に満ちていた。


リチャード役のベン・ウィショーが良かった。
微かに動く表情で全てを物語るような演技が素晴らしかった。

関係ないけど、彼自身もゲイなんだね。
女は女が、男は男が演じる方がしっくりくるように、ゲイはゲイが演じた方がしっくりくるな。

この先ネタバレありるのでご注意を!!!!!

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ジュンとアランは言葉が通じなくても、心が通い合うようで仲睦まじく時を過ごしていた。
が、リチャードが通訳の中国系女性ヴァン(?)を雇ったことから、徐々に歪が生まれていく。

言葉が通じない時は寄り添えていたのに、通訳を介して意志疎通が出来るようになって、逆に、心が通い合えなくなっていく。
なんか、深いなと思った。

結局、お互いに勝手に自分に都合の良い解釈をしていただけで、相手を思っていた訳じゃない。
相手の中に勝手に幻を築いてしまったんだろうね。


映画の最後で語り合う、ジュンとリチャード。
「あなたの存在が彼にとって重圧だった」と思わず言ってしまうリチャード。
母親としてその言葉は辛い。

そして、「息子の愛情を争うなんて」と後悔するジュン。
リチャードに頑なだったジュンの本音がそこにあった。

ヤフー映画のユーザーレビューでは3.48点。
私の勝手な採点は★3つ半。

亡くなっても彼の残した愛は消えない。

Tag : ゲイ , 老い , 親子

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映画レビューデータ

タイトル : 追憶と、踊りながら

ジャンル : ドラマ

キーワード : ゲイ , 老い , 親子

評価 : 3.5つ☆ / 5つ☆

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